夏の札幌芝1200mに、秋のスプリント戦線を見据える快速馬たちが集う。舞台は洋芝の札幌。単純なスピードだけでは押し切れず、コーナーでの立ち回り、馬場への適性、そして最後まで脚を使い切る持続力が問われる一戦。実績馬が秋へ向けて存在感を示すのか。それとも、夏の北海道で力をつけた伏兵が一気に主役へ躍り出るのか。スプリント戦らしい一瞬の速さと、札幌らしいタフさが交差するキーンランドカップ。
Race Preview 2026
キーンランドカップ ~展望~
2026年8月23日(日)札幌芝1200m GⅢ 別定 3歳以上
サマースプリントシリーズ 第5戦 スプリンターズS優先出走権付与
日程
8月23日(日)15:45
コース
札幌・芝1200m(右回り)
格付け
第21回 GⅢ/別定
斤量
古馬牡57kg(牝馬2kg減・GⅠ勝ち馬加増)
昨年のキーンランドカップ覇者パンジャタワー、スプリンターズS覇者ウインカーネリアン、昨年3着のカルプスペルシュ——洋芝の申し子たちが集う夏の短距離決戦。
1着馬にはスプリンターズSの優先出走権が与えられ、秋G1への重要な前哨戦でもある。
過去10年のデータが示す「牝馬優勢・外枠有利・3〜4歳の台頭」という傾向をもとに、三軸の分析で今年の注目馬を絞り込む。
過去10年の連対傾向(2016〜2025年)
1
3・4歳が主役——4歳以下が馬券に絡まなかった年は過去10年でゼロ
過去10年で3歳馬の勝率・4歳馬の3着内率がそれぞれ最高水準。4歳以下の馬が馬券に絡まなかったことは一度もないというデータが示す通り、このレースは若齢馬が中心だ。軸馬は3〜4歳から選ぶのが基本で、今年の3歳・4歳勢ではパンジャタワー(4歳)・ロジケープ(3歳)・ナムラクララ(4歳)が対象。一方で5歳以上は連対率が下がり、特に7歳以上は2017年エポワスの1勝のみという厳しいデータがある。
2
牝馬が優勢——近11年で牝馬の人気馬(単勝10倍未満)が馬券に絡めなかったのは3回のみ
性別では複勝率・勝率ともに牝馬が牡馬を上回る。特に「牝馬の人気馬(単勝10倍未満)」の連対率は約60%という高水準で、人気の牝馬を買っておけば当たるレースという印象が定着している。今年の牝馬候補はナムラクララ(浜中俊)・カルプスペルシュ(横山武史)の2頭で、どちらかが人気に支持されれば積極的に評価したい。
3
外枠(6〜8枠)が圧倒的優勢——1枠は2着連対すらゼロ
過去20年で6〜8枠は8勝・2着4回・3着6回と圧倒的な成績。対して1〜3枠は1勝のみ(2022年ヴェントヴォーチェ・1枠)と大苦戦が続く。開催後半の洋芝が傷んだ馬場では、馬場の良い外側を走れる外枠が明確に有利。1番人気が内枠に入った場合は過信禁物のデータがあり、枠順確定後に評価の見直しが必要な馬が出てくる可能性がある。
4
前走函館スプリントS組が最強ローテ——3着以内馬は3頭に1頭が馬券圏内
過去10年で前走函館スプリントSからのローテは4勝・2着2回・3着3回と最多好走。ただし前走で4着以下だった馬の複勝圏入りはゼロというシビアな条件付きデータであり、前走函館SS組でも3着以内に入れなかった馬は大きな減点対象となる。今年の函館SS組はエーティーマクフィ(2着)・カルプスペルシュ(5着)の2頭。エーティーマクフィはデータ的に強く支持される一方、カルプスペルシュの5着は割引材料となる点に注意が必要だ。
5
2番人気の連対率70%・同年の重賞・オープン実績が好走の必要条件
過去10年で2番人気の連対率70%・3着内率80%という突出した数字が目を引く。また2018年以降の優勝馬7頭中6頭が同年にオープンクラスの芝1200m戦を勝っているというデータも重要で、今年の重賞実績は絶対条件に近い。10番人気以下は過去10年で64頭中1頭のみの馬券圏内と大穴軽視でいい一方で、6〜9番人気帯が毎年のように馬券に絡む波乱含みの構造も特徴的だ。
傾向から注目する5頭
傾向◎
パンジャタワー
父:タワーオブロンドン(Gone West系=ミスプロ系)/母父:ヴィクトワールピサ(SS系ネオユニヴァース系)
4歳の充実期でデータの示す「最も連対しやすい年齢」に合致。昨年覇者として同年重賞実績(NHKマイルC・キーンランドC)も完備し、「同年オープン芝1200m勝ち」という好走条件も当然クリア。1週前追い切りは函館芝で5F64秒8-11秒6をマーク、鞍上「去年よりも行きっぷりが良くなっていてさすがG1馬という動き」と太鼓判。三傾向すべての好走条件を満たすデータ最上位の存在だ。唯一の懸念は前走安田記念(マイル)からの距離短縮という異色ローテだが、2026年春に距離に課題を抱えたG1馬が夏場に巻き返すパターンは過去にも多い。
傾向○
ナムラクララ
父:アドマイヤマーズ(ダイワメジャー系=SS系)/母父:Storm Cat(ストームバード系=ノーザンダンサー系)
「牝馬人気馬の連対率6割」というデータに直接合致する4歳牝馬。札幌のUHB賞(芝1200m)を勝っており「同年オープン芝1200m勝ち」の好走条件もクリア。半姉ナムラクレアがこのレースを制覇(2023年)していることも縁起が良い。母父Storm Catは洋芝のパワーコースへの適性が高く、浜中俊騎手の積極策で傾向データを体現する存在として最有力の対抗候補。
傾向○
エーティーマクフィ
父:マクフィ(Dubawi系=欧州型)/母父:ハーツクライ(SS系)
前走函館SS2着という「最強ローテ・3着以内」に完全合致する一頭。「前走函館SS組で3着以内なら3頭に1頭が馬券圏内」というデータを最も体現する存在だ。富田騎手「1回使ってすごく良くなっています」と上昇を確認済み。懸念は7歳という年齢で、過去10年のデータでは6歳以上の優勝は17年エポワスだけという壁がある。ただし前走内容の良さがデータを上回れるかが注目点。
傾向○
ロジケープ
父:ロジユニヴァース(SS系ネオユニヴァース系)/母父:ハーツクライ(SS系)
過去10年で勝率が最高の3歳馬として傾向データから注目。前走3勝クラス(札幌芝1200m)を中団の外から2馬身差完勝してオープン入りを決めた勢い馬で、「同年の芝1200m実績」も証明済み。重賞初挑戦で相手は一気に強化されるが、3歳軽量(55kg)と勢いが最大の武器。父ロジユニヴァースは東京優駿馬でステイゴールド系のスタミナ血統だが、札幌の洋芝適性は前走が証明している。
傾向○
カルプスペルシュ
父:シュヴァルグラン(SS系ハーツクライ系)/母父:ロードカナロア(Kingmambo系=ミスプロ系)
昨年3着のリピーターとして経験値は上位。4歳牝馬として「牝馬人気馬データ」にも該当し、54kgという斤量も大きな武器だ。ただし前走函館SS5着は「前走函館SS組で4着以下は複勝圏入りゼロ」という厳しいデータに引っかかる最大の懸念点。抽選対象馬という出走面の不確実性も残っており、傾向としては昨年実績の評価とローテ割引が綱引きする存在として位置づける。
血統フィルター(洋芝1200mに合う系統の分析)
1
ミスプロ系が洋芝短距離でも好走——スプリント適性と機動力が洋芝パワーと合致
札幌競馬場はパワーが必要な馬場特性から、もともとスプリント志向の強いミスプロ系が好走しやすいコースだ。過去10年の好走馬を振り返ると、ミスプロ系を父か母父に持つ馬が複数絡んでいる。特にKingmambo系・Seeking the Gold系・Gone West系など、スピードの持続力に優れたミスプロ系各系統が好走の実績を積んでいる。今年の該当馬ではパンジャタワー(父タワーオブロンドン=Gone West系)・カルプスペルシュ(母父ロードカナロア=Kingmambo系)が代表格。
2
Storm Cat系(ストームバード系)が毎年好走——ノーザンダンサー系の中で最もこのコースに合う
ノーザンダンサー系の中でStorm Cat系の血を持つ馬が毎年のように馬券に絡んでいる。Storm Catはスピードと機動力を強く伝える系統で、洋芝のパワーコースでも末脚が持続するタイプが多い。また兄弟系のDanzig系(ダンヒル系)も好走例あり。ノーザンダンサー系の中でも「スピード持続型」を父または母父に持つ馬を優先したい。今年はナムラクララ(母父Storm Cat)がこのフィルターの最上位に位置する。
3
SS系の中では「スピード持続型」——ダイワメジャー系・フジキセキ系が複数好走
SS系全体では好走馬の約4割を占めるが、ディープインパクト系の好走はやや少ない傾向がある。好走が多いのはダイワメジャー系(3頭)・フジキセキ系(2頭)などスピード持続型のSS傍流。「洋芝で時計が掛かることでディープ系産駒でも道中追いつきやすい」という分析もあるが、ピュアなディープ系より機動力のある系統の方が信頼できる。今年ではナムラクララの父アドマイヤマーズ(ダイワメジャー系)がこの傾向に完全合致。
4
ロベルト系の機動力が洋芝小回りに合致——スクリーンヒーロー系・ウインカーネリアンの評価軸
ロベルト系はスタミナと持続力に優れ、パワーを要する馬場を得意とする。直線が短い小回りコーナーでのコーナーワーク能力が高い点も洋芝1200mに合う特性だ。スクリーンヒーロー産駒(ウインカーネリアン)はロベルト系の中でも最もコース適性が高い系統の一角。ウインカーネリアン(父スクリーンヒーロー=ロベルト系×母父マイネルラヴ=ミスプロ系)という「ロベルト系×ミスプロ系」の組み合わせは洋芝短距離に合う配合として注目できる。ただしG1スプリンターズS覇者の斤量負担(59kg)との兼ね合いがある。
5
欧州型(Dubawi系)は未知数——エーティーマクフィの血統的課題と可能性
父マクフィ(Dubawi産駒=欧州マイルG1馬)はノーザンダンサー系の欧州型種牡馬で、日本の芝では産駒がマイル〜中距離で実績を上げている。このコースでの過去の好走実績は乏しいが、母父ハーツクライ(SS系)との組み合わせで日本の洋芝への適応が期待できる。エーティーマクフィ自身は函館SS2着・京阪杯1着と洋芝・短距離での実績を持ち、血統データよりも個馬の実績を優先して評価すべき一頭だ。
血統フィルター早見表(主要出走馬)
| 馬名 | 父(系統) | 母父(系統) | フィルター |
|---|---|---|---|
| パンジャタワー | タワーオブロンドン(Gone West系=ミスプロ系) | ヴィクトワールピサ(SS系) | ◎ ミスプロ系×SS系 |
| ナムラクララ | アドマイヤマーズ(ダイワメジャー系=SS系) | Storm Cat(ストームバード系=ND系) | ◎ SS系×Storm Cat |
| ウインカーネリアン | スクリーンヒーロー(ロベルト系) | マイネルラヴ(ミスプロ系) | ○ ロベルト系×ミスプロ系 |
| カルプスペルシュ | シュヴァルグラン(SS系ハーツクライ系) | ロードカナロア(Kingmambo系=ミスプロ系) | ○ SS系×ミスプロ系 |
| エーティーマクフィ | マクフィ(Dubawi系=欧州型) | ハーツクライ(SS系) | △ 欧州型・実績で補う |
| ロジケープ | ロジユニヴァース(SS系ネオユニヴァース系) | ハーツクライ(SS系) | △ SS系同士・洋芝実績確認中 |
血統フィルターから注目する5頭
血統◎
パンジャタワー
父:タワーオブロンドン(Gone West系=ミスプロ系)/母父:ヴィクトワールピサ(SS系)
父タワーオブロンドン(Raven’s Pass産駒=Gone West経由ミスプロ系)はスプリント適性に特化した短距離血統で、札幌の洋芝パワーコースとの親和性が高い。母父ヴィクトワールピサ(SS系)のしなやかさが加わった「ミスプロ系×SS系」の好走配合。昨年覇者として血統的裏付けを実績でも証明済みで、今年も同系統の強みをそのまま活かせる体制が整っている。
血統◎
ナムラクララ
父:アドマイヤマーズ(ダイワメジャー系=SS系)/母父:Storm Cat(ストームバード系=ノーザンダンサー系)
過去の血統傾向で「Storm Catの血統を持つ馬が毎年好走」というデータに直接合致。父ダイワメジャー系のスピード持続力と母父Storm Catのパワー・機動力が洋芝の短距離コースで引き出される理想の配合だ。半姉ナムラクレアが2023年にこのレースを制しており、母サンクイーンⅡを通じた洋芝適性の高さは血統的にも証明されている。
血統○
ウインカーネリアン
父:スクリーンヒーロー(ロベルト系)/母父:マイネルラヴ(ミスプロ系・Seeking the Gold系)
父スクリーンヒーロー(グラスワンダー産駒=ロベルト系)×母父マイネルラヴ(Seeking the Gold産駒=ミスプロ系)という「ロベルト系×ミスプロ系」の組み合わせは洋芝の持続力勝負に合う配合。ロベルト系の機動力とミスプロ系のスプリント適性が洋芝小回りで発揮されれば十分な能力がある。ただし9歳・59kgという年齢と斤量の2点が血統評価を相殺する懸念として残る。
血統○
カルプスペルシュ
父:シュヴァルグラン(SS系ハーツクライ系)/母父:ロードカナロア(Kingmambo系=ミスプロ系)
母父ロードカナロア(Kingmambo系=ミスプロ系)からスプリント適性と機動力を受け継ぐ配合。「カルプスペルシュの距離適性は母父ロードカナロアから」という評価通り、洋芝1200mでの安定した成績の血統的根拠がここにある。父シュヴァルグラン(ハーツクライ系)の割引はあるが、母父ミスプロ系が補完している。昨年3着の実績も合わせて血統評価は○。
血統○
エーティーマクフィ
父:マクフィ(Dubawi系=欧州型)/母父:ハーツクライ(SS系)
父マクフィはDubawi産駒の欧州マイルG1馬で、血統フィルター上は「実績で補う」という位置づけ。しかしエーティーマクフィ自身は京阪杯1着・函館SS2着と洋芝・短距離での実績を積んでおり、個馬レベルでは血統の懸念を上回るパフォーマンスを見せている。2代母の父にサクラユタカオーを持ち「2022〜2024年キーンランドCでビッグアーサー系が3連覇」というデータとの間接的な繋がりも注目点。
調教評価上位5頭(1週前追い切りベース)
※枠順は8月21日(金)午前確定予定。最終追い切り反映後に評価を更新する予定。
S評価
パンジャタワー
父:タワーオブロンドン(ミスプロ系)/母父:ヴィクトワールピサ(SS系)
1週前に函館芝コースで5F64秒8-ラスト11秒6という全馬中最速の時計をマーク。「去年よりも行きっぷりが良くなっていて、さすがGI馬という動き」と鞍上が昨年覇者を上回る仕上がりを証言した。昨年制覇時のパフォーマンスを超える調教内容という評価は信頼に値し、調教単体では今回のメンバー中断然の最高評価。松山騎手との連携も安定している。
A評価
ウインカーネリアン
父:スクリーンヒーロー(ロベルト系)/母父:マイネルラヴ(ミスプロ系)
1週前函館Wコースで1馬身先着。三浦皇成騎手「しっかりとした反応を確認できました」と手応えを語り、スプリンターズSへの叩き台ながら仕上がりは十分な状態。9歳という年齢を感じさせない動きで、状態面の不安は小さい。ただし59kgという最重量斤量を背負いながらこの動きが出せることを、本番でどこまで活かせるかが焦点だ。
A評価
エーティーマクフィ
父:マクフィ(Dubawi系)/母父:ハーツクライ(SS系)
1週前函館Wコースで5F69秒4-ラスト12秒6をマークし、ロードステラート(3歳未勝利)に2馬身先着。富田暁騎手「1回使ってすごく良かったです。状態は上がっています」と前走函館SS2着からの上昇を確認済み。最終追い切りでも「キーンランドC 函館Wコース 強め 66.7-52.4-37.6-11.9」とラスト11.9秒の好時計をマークしており、状態面は申し分ない。
A評価
ナムラクララ
父:アドマイヤマーズ(ダイワメジャー系=SS系)/母父:Storm Cat(ND系)
1週前函館での追い切りで活気ある動きを披露。浜中俊騎手「気持ち良く動けていました。状態は良いと思います」と手応えを語り、近走の成長を確認済み。馬体もしっかりとした状態を維持しており、4歳牝馬として充実一途の印象。UHB賞勝ちの勢いをそのまま継続しており、状態面の不安はない。
A評価
カルプスペルシュ
父:シュヴァルグラン(SS系)/母父:ロードカナロア(ミスプロ系)
横山武史騎手が1週前追い切りを跨き「洋芝でもしっかり動けた。前走より状態はいい」と昨年3着時以上の仕上がりを示唆。前走函館SS5着からの立て直しが追い切りで感じ取れる内容だった。ただし抽選対象馬として出走確定まで確認が必要な点は注意。出走さえ確定すれば54kgと調教内容を合わせて上位評価できる存在だ。
三軸フィルター まとめ
傾向◎
パンジャタワー
ナムラクララ
エーティーマクフィ
ナムラクララ
エーティーマクフィ
血統◎
パンジャタワー
ナムラクララ
ウインカーネリアン
ナムラクララ
ウインカーネリアン
調教◎
パンジャタワー
エーティーマクフィ
ウインカーネリアン
エーティーマクフィ
ウインカーネリアン
三軸すべてで最上位評価が集まるのはパンジャタワー(傾向◎・血統◎・調教S)で、昨年覇者として今年も断然の中心馬。ナムラクララ(傾向○・血統◎・調教A)が4歳牝馬データと血統で対抗格。エーティーマクフィ(傾向○・血統△・調教A)は前走ローテと調教内容が後押しする穴候補として注目したい。枠順確定・最終追い切り後に最終結論編で本命を確定する。
※本記事は2026年8月19日(水)時点の情報をもとに作成しています。枠順は8月21日(金)午前確定予定。
※カルプスペルシュは抽選対象馬につき出走確定後に評価を確定します。
※馬券購入は自己責任にて。データはあくまで過去の傾向であり、結果を保証するものではありません。

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